妖怪狐の話
最近、夏バテ気味な『狐』です。
今回は妖怪狐の話です。
俺は人間が憎い。
ただの狐だったころ。最初に憎悪を抱いたのは、一人の狩人だった。
目の前で母親を殺され、憎しみが俺をただの無力な狐から化け物へと変化させた。
最初は化けるのもやっとだった。
2日かかって人間の女に化け、親を殺した狩人に復讐した。
しかし、今度は村の狩人が狐狩りを始めた。
仲の良かった友人が次々に殺されていった。
俺はその森から逃げ出すことしか出来なかった。
十年経って石像や他の動物にもすぐに化けれるようになり、人に幻覚をみせれるようになった。
そこで、また復讐を果たすために森へ戻り、狩人達に恐怖を与えるため、一人ずつ殺した。それからまた十年経った頃、一人の少女が森へ泣きながら入ってきた。
最初は人間なので、殺そうと思った。しかし、なぜか殺せなかった。
窓に向かって母親を呼ぶ声が、なぜか。過去の自分にかさなったから…。
初めて人間に憎悪以外の感情が芽生えてきた。
しかし、それから一年後。人間は巨大な化け物に乗って騒音と共に木々をなぎ倒し、森の木を殆どを切り株にした。
まだ、人間は俺から奪っていくのか……。憎しみと怒りがこみ上げてくる。
また、俺は人間を毎晩一人ずつ殺していった。
気づいた時には俺は尻尾が三本の化け狐に変わっていた。
しかし俺の人間を憎む心は消えなかった。
そして何年か経ったとき黒妖犬が訪ねてきた。
人間を殺すなと言いたいらしい。
だが無理だ。この心が晴れないかぎり、俺は人間を殺し続けるだろう。
それから三十年後
俺は村の全てを破壊し尽くした。
だが、心が晴れない。
やはり人間を滅ぼさないと駄目なのだろうか…?
それから三十年後、そんな悩みを持った俺のところに一人の少年が訪ねてきた。
ああ、文才が欲しい…。