1/7
狐の話
主人公は狐。
少しブラックな話になりました。
これが根暗と呼ばれる原因だな……。
のんびりと山奥の木の根っこの巣穴で母親と暮らしていたある日。
なんだ…これ…。
最悪だ。最悪な1日だ。
獲物を狩って帰って来たら。
自分の巣穴の前に家族が両目から血をダラダラと流して横たわっていた。
誰が…こんな…。
その時、藪の中から人間の男が出てきた。
俺はくわえていた虫をその場に落とし急いで近くの木陰に身を潜める。
熊の毛皮を羽織っていて、身体中に動物の骨で作った飾りをつけている。
そしてその男は先端から煙が出ている筒状の何かを持っている。
男はニタニタと嗤いながら、煙りの出ている筒を俺の母親にむけて何発か撃ち込んだ。
そして俺の家族をどこかへと持って行ってしまった。いったい何が起こったのか。
なんで俺の母親が殺されたのか。俺の心の中にドロドロとしたものが溢れ出てくる。
それが、まだ普通の狐だった俺が人間に憎悪を抱いた瞬間だった……。