第七章 第四話 レイストの弓
「では、エミア卿!王太子殿下の第二護衛の任!お任せください!」
ウィルがエミアに敬礼をする。
「ちょっと!あなたが先輩なんだから・・・」
「いいえ。元々、実力も人柄もあなたが上です。それに、陛下直々に正式に黄金騎士の叙勲を受けられました。同じことを言うものは、それこそ陛下並びに全国民に対する奴隷となればいいのです!」
「む・・・無茶な・・・」
「で・・・でも、私のお給金の一部だけでも・・・」
「なりません!」
そんなやりとりがあり、エミアたちは、ラムンセン南端の遺跡に向かった。
そこに、レイストの弓があるとの情報を、ブラストから得たからである。
その遺跡は、異様だった。
「これは、神々の時代のものね・・・」
勝手についてきたエミリアが、感想を述べた。
「エルフの時代のものではなくて?」
「『神波動』エネルギー変換理論は、エリティア様が最初に言い出したもの・・・エルフ時代にすら研究はおろか、理論すらなかったと聞くわ。かつて、創造神族と破壊神族との戦いのころ、使用された宇宙戦艦ではないかと推察できるわ。」
魔法力演算機らしきもので埋められたその場所は、どこか異星を思わせる。
「これね・・・」
そこには、オリハルコンで作られた魔法力弓があった。
しかし・・・
「結界で守られているわ・・・」
「そうだ。解呪で解こうとも無駄だ。できるなら奴らもやっている。」
ブラストが解説する。
「封印したのは、二代目レイストの三女ユレイシア。悪用を恐れて自らの識る神と自らの力をもってして封印したのだそうだ。つまり封印を解けるのは・・・」
「つまり・・・私・・・」
「周到だな・・・『父・レイスト』は・・・どうしてもお前に事を進めさせたいらしい。」