第六章 第四話 母参上!
エミアたちは、戦列に加わった。
炎の魔法、光の魔法が物を言う。
「しかし・・・数が多いわ!」
閃光剣でゾンビを斬りつつ、ティアが言う。
「闇よりもなお暗き者、夜よりもなお深き者、偉大なりし調停の破壊神!我、汝に願う!我と汝の前に立ち塞がりし全ての愚かなる者に重圧を与えよ!暗黒大重圧!」
ディナの暗黒魔法が炸裂した。
無数のスケルトンや、ゴーレムを次々と粉々に押しつぶしていく。
「ふふふ・・・やりますね・・・さすが、三代目レイストと三代目ヴェイスト、そして、王国の姫・・・」
「妖魔王エルド!」
「いかにも・・・」
軍勢の後ろから、中性的なローブ姿の男が進み出た。
「ビューストがお世話になりました。しかし、勇者様も聖魔剣士様も、姫様も邪魔なのですよ。後ろで指揮を執っておられる大魔導師様も、もう御年のようだ・・・」
「ふざけるなッ!」
ティアが、フレアウォールを放つ。
が、同じものをエルドは、放つ。
「絶対魔法防御!」
ティアの前に、一人の黄金騎士の少年が、盾を構えて立っていた。
「ウィル!」
「姫様!ご無事ですか!姫様の護衛の任は本来エミア様ですが、この状況では、そうも言っていられません!」
いつの間にか、エルドが放った魔法は消失している。
「ほう・・・忠臣ですね・・・ならばこれはどうでしょう・・・」
エルドが、右手を振り下ろす。
『黒い光』が、無数の流星のように王都を襲ったが、寸前で光の幕で遮られる。
「うまくいった・・・開発中の『攻撃魔法』の応用・・・」
エミアだった。
「さすが、勇者様です。でも、長時間耐えられますか?見たところ、相当の魔法力を消耗するようですが・・・」
「くッ!」
「しかし、一つの街を丸々対魔法防御で覆ってしまう術です。いつまで持つか・・・」
言う間に、どんどんと魔法力は削られていく。
だが、しかし・・・
突如、結界の外で大爆発が起こった。
爆風がおさまった空を、エミアが見上げると、そこには眼鏡をかけた百二十歳《人間年齢では十二歳》程の魔導師姿のエルフの女性がいた。
女性の髪の中から、体長5センチほどのフェアリーがひょっこりと顔を出す。
「さあ!もう安心だよ!大魔導師エリティア様の直弟子大魔導師エミリア・ティアムル様がご帰還されたから!」
ついに、母参上です!