第六章 第三話 攻防➀
すでに、トラルティアでは、臨戦態勢となっていた。
「その、エリキシルは、こっちだ!」
「魔導師部隊と魔法騎士優先の、増幅用タリスマンはまだなの!?」
「おーい!ルーンブレードと、ルーンシールドが足りないぞ!」
「搭乗型ゴーレム隊は出さないのか?えっ!?防衛戦や市街地戦では無理!?」
そんな声が、あちこちで聞かれる。
「そりゃあああああっ!」
城壁の側で、縦横無尽に駆けずり回る人兎の少女が一人。
見ると、金色の軽装鎧を纏っている。
「てえええええいっ!」
軽く速い蹴りが、スケルトンを砕いた。
「神聖騎士アリス・ワンダーランド・・・『疾風の白兎』をなめないでよね!」
アリスが構える。
「超・覇王真一文字!」
人間や他の獣人には不可能な、強烈な踏み込みから、神速の剣筋が、敵を一列に一刀両断した。
だが、次の一撃を繰り出そうとしたとき、アリスの頭上に、ゴーレムの拳が・・・
「ひゃあっ!」
だが、次の瞬間、それを、エミアとヘイゼルが受け止めていた。
「アリス卿・・・油断大敵ですよ。」
「すばしっこいのが逆に災いしましたね。」
エミアが、やさしい言葉をかけるのとは対照的に、ヘイゼルは、毒舌を吐く。
「狼牙爆裂拳!」
そのまま、ヘイゼルは、襲ってきたゴーレムを破壊してしまった。
しかし・・・
ごすっ!
アリスに頭をはたかれてしまった。
「あんたねぇ!女の扱い知らんでしょう!許婚と性別考えない付き合いだったらしいから!」
「い・・・いてて・・・」
「は・・・ははは・・・」
エミアは、笑うしかなかった・・・
アリスの名前は、『兎』→『不思議の国のアリス』(英訳・アリス・イン・ワンダーランド)からです。




