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第六章 第二話 妖魔王襲撃!
プルルルル・・・
突然、エミアのメディアオーブが音を立てた。
「誰かしら・・・」
メディアオーブ・・・一対となっている手のひらに収まる水晶球で、双方向通信が可能なアイテムである。
すぐに、エミアはオーブに念を込めた。
『エミア!今すぐ戻りなさい!トラルティア王都・トラルティアが、攻撃を受けているわ!』
通信の主は、エリティアだった。
「えっ!?」
『不死やら、魔装鎧やら・・・ゴーレムやら・・・どうやら、妖魔王・エルドの軍のようね・・・陛下より命が下ったわ。『任務を一時中断。ヘイゼルと合流できている場合は、共にティアと帰還せよ。』』
妖魔王ファルス・・・
大魔王ダイアレートの配下で、その瘴気をもってして多くの森林を砂漠に変えた魔王である。
「あんのクソ親父・・・私たちのこと、黙認したわね!」
『そうともいいます姫。』
耳を立て、尻尾を逆立てるティアに対し、エリティアの声が応える。
「しょうがないわ・・・」
エミアは、印を結んだ。




