第五章 第四話 ウォルスト・ティアムル
そこには、ローブをまとった天使・・・否、黄金の鳥の翼と竜の角を持った青年がいた。
「初めまして。私は、創造神帝。このままだと、ブラスト君をヘイゼル君が殺してしまいかねない。そこで、私が来たという訳だ。」
言うが早いか、シェスは、剣を抜く。
そのまま、中段に構える。
「天帝魔消斬!」
一閃・・・
シェスは、ブラストを斬ったかに見えた。
「何を・・・」
エミアは、シェスを見た。
「大丈夫。」
ルカは、ブラストに視線を送る。
「な・・・何だ・・・?この憎悪が消えた感じは・・・」
「まったく・・・いつも出てくると、荒療治なんだから・・・」
「いつものことだろ。後は任せる。」
言うが早いか、シェスは、唐突に消える。
「さて・・・どこから話そうか・・・」
毒気を完全に抜かれたブラストは、話し始める。
「首領の名は、ウォルスト・ティアムル。奴は、レイスト一族三大宗家を別とすれば、『神童』とも言われた男だ。だが・・・ある意味、お嬢様が奴の人生を狂わせたとも言えるが、本当に悪いのは、母親かもしれん。」
「ウォルスト・・・!?トラルティア剣術大会で、予選落ちした男か!?」
エクスが声をあげた。
「まあ、当たったのがヘイゼルなら、まだマシだったかもしれん。だが、予選でレイスト・エミア・ティアムルに当たったのが、奴だった。まあ、エミアに当たった相手が、普通の騎士なら、どうということもない。何しろ勝てば、『あのお嬢様相手にすごい奴』負けても、『相手が悪い』で済む。だが、エミアとの勝負に負けたとき・・・奴の運命は決まってしまった。」




