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第五章 第三話 天帝の真意
「ヴァルシュタインの血筋は、君らよりも人狼の血が濃いんだ。姫様ほどじゃないが。一度覚えた相手の匂いと気配は忘れんよ。」
ヘイゼルは、剣を抜いた。
「覇王疾風剣!」
風をまとわりつかせた剣が、ブラストを襲う!
「くそっ!以前より強い!」
「言っておくが、僕は、エミアや聖鳳凰様ほど甘くはないのでね・・・それが例え、我がヴァルシュタイン家の親戚筋に当たるとはいえ、レイスト一族に世界を滅ぼそうとする者がいるなら・・・」
ヘイゼルの眼光が、人のそれから、狼のそれへと変わる。
「容赦はしない!」
突如、ヘイゼルの剣が輝く。
「ライトニングブレード!」
「我らが父・二代目レイストの技か!」
その様子を眺めつつ、ルカは思案にふける。
「さて・・・どうしたものか・・・」
そのとき、ルカの肩をちょいちょいと、つついた者がいる。
「誰・・・ってわあっ!シェス!」
「まったく・・・簡単なお使いもできんのか君は。」
「誰です?」
ティアが尋ねた。
「君らが、天帝と呼ぶ人だよ・・・創造神帝シェス・カーバイン・・・」