83/128
第五章 第一話 ヘイゼル
記憶喪失になっていました。
彼は、辺境にいた。
どうしてここにいるか判らない。
ただ、倒れていた所を、ミゼルという少女に介抱された。
どうやら、相当の実力者と戦ったらしい。
「そろそろ行かなくては・・・僕には使命があるようだ。」
彼は、立ち上がった。
「もう少しいてくれても・・・」
「すまない・・・僕には、決まった人がいるようだ。それに・・・」
彼は、歩き出した。
「君は、一人で生きていけそうだ。彼女は、あぶなっかしくてね・・・剣も魔法も一流なのに、どこか『ダメ』なんだ。そうそう・・・」
彼は、寂しそうに微笑んだ。
「どうも君は、相手に望んでいないものを必要ない分だけ与えるのが好きなようだ。それでは、やっていけないよ・・・
どうやら、記憶が戻ったようだ。僕の名は、ヘイゼル・ヴァルシュタイン。トラルティアの白銀騎士。彼女は僕を追って来ている。でも、相当つらい思いをして近くまで来ているようだ。」
ヘイゼルは、駆け出した。
シルバーミスリルの鎧の重さなどないかのように・・・
ミゼルさんは、ストーカーの気があります。