第四章 第四話 明鏡止水
さて・・・ルアーをとりつけ、糸を垂れる・・・
どうして、自分が声をかけたとき、魚は逃げたのだろうか・・・
エミアは考える。
精神統一し、心を落ち着かせる。
‐父上が言ってたっけ・・・何も無い波紋すらない水面を思い浮かべよって・・・-
すると、魚がルアーに近づくのが、『見えた』のだ。
そして、食らいつく瞬間を見計らって、竿をひく!
「や・・・やった!」
「それこそが、『明鏡止水』あらゆる武術の極意よ。まさか、キティルハルムの格闘士隊の教官だった私が、三代目レイストに伝授するとはね・・・」
彼女・・・ミリスがキティルハルムの格闘士隊の教官を勤めていたころ、隊員・・・つまり弟子が、訓練の怪我が元で死亡した。
弟子は、人一倍身体が弱く訓練を休みがちだったが、本人は、それを気に病んで無理な修行を続けたらしい。その結果、怪我をし、その怪我をおして修行を続け・・・帰らぬ人となった。
「ミリス!気にするな!」
上官は、止めた。必死だった。
「いいえ!決めました!」
ミリスは、辞表を提出し、この山に籠もり修行に励んだ。
いつしか、彼女は・・・
仙人と呼ばれるようになった・・・