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第四章 第三話 仙人
王都ラムンセンから、ローカル線で小一時間・・・
そこは、ド田舎だった。
さらに、山を登ること三十分・・・
森の中に泉があり、大きな石がある。
そこに、腰をかけて、釣竿を持つ人猫が一人。
耳を通すために穴を開けた麦藁帽子と、オーバーオール、タンクトップといういでたちの女性だ。
見るからに若い。
「あの~仙人様ですか?」
ぱちゃ。
魚が跳ねる。
この辺りに生息する蒼ニジマスである。
「ちょっと!お魚が逃げちゃったじゃない!」
「・・・す・・・すみません・・・」
エミアは、素直に謝る。
「仙人か・・・なんの用?」
「実は・・・」
エミアは、これまでのことを話した。
自分の素性、レイスト一族の反逆、旅の目的・・・
「ふむ・・・なら、お魚釣ってみて。」
女性は、持っていた釣竿をエミアに渡した。
「えっ?」
「あなたは、焦りすぎ。気も魔法力も無駄に使ってる。」
少し気になり、石の脇にさりげなく置かれていたバケツを見る。
四匹の魚が、泳いでいる。
訳がわからなかったが、これも修行なのだろう・・・
ありがちなネタを使ってみました。




