第四章 第二話『神』
「くっ・・・なんと強い・・・剣すら抜いていないのに・・・」
レイストの斧を構えた闘士ブラスト・ティアムルは、冷や汗をかいた。
目の前にいる相手は、背にある大剣すら抜くそぶりを見せない。
何度も、謎の『波動』に跳ね飛ばされるだけだ。
「この力?神の力『神波動』だよ。これに近い能力は、君らの一族の宗家のお嬢様にしか使えないはずだよ。」
相手・・・少女は、圧倒的な威圧感を放っている。
「でも僕たちは、君らを殺したくないんだよ。本来ならば、君たちは『親』である二代目レイストの命に従い、邪悪を倒さねばならない。お嬢様―レイスト・エミア・ティアムル―を旗印にしてね・・・
ま、僕は面倒だから、魔王の一人も軽く片付けておけば君らの戦力を削れるかと思ったんだけど、当の君が出てきたからしょうがない。ところで・・・」
敵―少女―は、ブラストを見つめる。
「悪い子には、おしおきだよ。」
少女は、右手に赤い羽根を持っていた。
いつの間にかである。
「!!」
そして、いつのまにか、ブラストの胸に羽根が刺さっていた。
「ぐああああああああっ!」
途端にブラストは、炎上するが、炎はすぐ消える。
「はあはあはあ・・・何をした・・・!?」
「おかしいなあ・・・これって、善良な人なら、超悪くなっていても悪い心がすっきり。ホントに悪い人なら死んじゃう『浄化の炎』なんだよね・・・」
「まさか・・・きさま・・・『創造神族』か!?」
「ご『想像』におまかせします。じゃ、僕は、お嬢様に会いに行くよ。今度会うときは、いい子になってるといいね。」
そう言うと、少女は姿を消した。
彼女・・・これで『遊んでる』レベルの実力なんです。




