第四章 第一話 情報
ラムンセン王国・・・トラルティア、エルフィーラと並ぶ文明国家・・・
王国軍に存在する魔法騎士団は、独特のものである。
トラルティアのそれは、一部の騎士がエミアのように独学で魔法を習得してそう呼ばれているに過ぎない。
中には、獣人の小隊長もいるとか。
「進んでるわねぇ・・・」
ティアが言った。
「ねえねえ!この百合本(GL)よくない?」
べしっ!
エミアとルーシィがどたまをはたく。
「却下!」
「だめです!」
姫が目を通していいものではない。
「ええ~?」
人狼の少女と人猫の少女が抱き合っているイラストの雑誌を、残念そうにティアは元の場所に戻す。
「「はあああああ・・・・・・」」
似たような職場の者同士が、ため息をつく。
「ところでさ・・・」
エクスが切り出す。
「なんでここなんだ?」
「ここは、勇者と最も縁が深い国。故に支援が受けやすいのです。そもそも、王族にしても盟友ですし。」
町を歩くと、大きな工房が見えた。
『レイシアの鍛冶工房』と看板に書かれている。
「ここ・・・うちと代々の付き合いつきあいなんですよ。『レイストの武器』の絡みでね・・・」
エミアは、扉の脇にある突起を押す。
すると、爆裂魔法のような音が、そこから響いた。
「凝ってるな・・・たかが呼び鈴なのに・・・」
しばらくして、がちゃりと扉が開く音がし・・・そこからは前掛けをしたホビット系の女性が顔を出した。
「はーいお久さ!エミアじゃないの!何の用?」
工房は、事務室兼居住スペースと鍛冶工房に分かれている。
事務机には、スクリーンモニターと入力盤、そして、箱のような物が備えつけられている。
ここ千年の『産業革命』の産物の一つ、『魔法力演算機』である。
「はあ・・・あんたの許婚の情報ねぇ・・・ちょっと難しいわ・・・」
女性―レイミ―は、魔法力演算機を操作して、うーんと唸る。
「ねえ・・・この人、情報屋?鍛冶師?」
ティアが、エミアに尋ねた。
「両方です。」
コンピューターまであるんです!この時代!




