第三章 第二話 氷術士エクス王子②
それは、店外で起きた。
通行人が何者かに襲われたのだ。
「!!」
「どうしたの?エミア・・・」
「どうしたもこうしたも・・・!アレ・・・魔王でしょ!」
獣人のような風貌だが、邪悪なオーラがそれを否定している。
「その人を放しなさい!」
エミアは剣を抜いた。
「ほほう・・・お前か・・・デラルの呪いを断ち切った『レイ』の第二の転生体『勇者レイスト』の三代目とは・・・」
『獣人』は、通行人を投げ捨てる。
通行人は、そそくさと逃げ出す。
「そうよ!」
「我が名は獣魔王ビースト!大魔王ダイアレート様の配下の一人・・・」
「なぜ、そんなのがここにいるのよ!」
「ウォルストとかいったか・・・貴様の一族のはぐれ者を集め、ダイアレート様を復活させるための手始めに実験と称してレイに封印された我々を解き放った。そして、奴が満願を成就させることと、我々の利害が一致したため、『配下』として協力することとなったのだ。
すばらしいぞ・・・かつて世界を救うために戦った勇者の末裔どもが、醜く争う様は!」
その、会話の様子を、街灯のオーブの上に立ち、眺めていた男がいたが、誰もその事実に気づかなかった(なぜ!?)。




