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第三章
この世界は、飛躍的に発展を遂げた。
書いた文章を転写する機械や、魔法力で通話するオーブ・・・
果ては、魔法力で走る列車まである。
トラルティール大陸とラムンセン大陸とを繋ぐ列車の座席で、ティアは「女性騎士最新ファッション」なる雑誌を読んでいた。
スケベ男が喜びそうな覆う範囲が少ない超軽装鎧に、下着同然の騎士服ばかりである。
「ねえねえ!こんなの着ない?」
ティアは向かいの席に座るエミアに尋ねる。
「いいえ。これは邪道です。第一、実用性がありません。鎧の下には、きっちりとした騎士服を着るのが当たり前です。フリーの騎士ならともかく、王家や自治領の騎士はこんなのは着ませんよ。」
エミアは、げんなりとした表情で切って捨てる。
『停車駅・ハレルーン・・・!次はハレルーンでございます!』
アナウンスが流れる。
「馬鹿なこと言ってると、置いていきますよ・・・」
「ま・・・待ってぇ!」
ええ。エミアは堅物です。
ちなみに、私もあの鎧は好きではありません。