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第一章 第四話 奪われたレイストの剣④
正しくないことは判る。
だが認めてはいけない。
そこから、意識が暗転・・・・・
エミアは、何も判らない・・・
判っているのは、エリティアと父バルティスが駆けつけてきたことくらいか・・・
「う・・・う~ん・・・」
目を覚ましたエミアの前には、八十歳位のエルフの老女がいた。
齢千二百歳の大魔導師であり、ティアムル宗家の歴代当主を育ててきた『長老』である。
エルフであることを考慮しても、実年齢より若い。
「無理をしてはだめ。まずは身体を休めなさい。」
ため息をついて、エリティアは窓の外を見た。
「それにしても・・・この状況・・・あの人は・・・そしてあの子はどう思っているのかしら・・・」
自分より早く亡くなった夫グレイスと、息子レイストのことを想い浮かべた。
その様子を見ていたエミアは、やるせない気持ちになっていた・・・