第一章 第三話 奪われたレイストの剣③
濃いです・・・第二部のテーマは、ずばり現代社会の縮図です。
レイスト一族を狂言廻しとして描いていきます。
「問答無用!・・・・・ライトボルト!」
そんなことで、世界を破滅させるのか・・・!
エミアは、頭に血が上っていた。
だが、厳然たる事実。
豊かであることが幸福であるとは限らない。
貧しいことが不幸であるとは限らない。
だが、互いがその境遇ゆえに是正はできても、理解することは不可能なのだ。
「・・・魔法解除!」
「なっ!」
サイストは、ライトボルトを無効化させた。
「天才は、出来損ないに物を教えることはできないのよ・・・なぜだかわかる?」
サイストは、にっと笑う。
「だって、『努力』すれば当たり前に『結果』が返ってくるものだと思い込んでいるし、そのやりかたを自分なりに理解せずに体得しているから・・・
そう・・・理解せずに体得したものをどうやって教えるというの?
結局、『努力』が足りないですます・・・
『努力』の仕方を教えてあげられもしないのに・・・」
「・・・・・・!」
「返答不可能・・・そうよね・・・こんなこと理解できるほうがおかしいか・・・」
サイストは続ける。
「だったら、何にもないほうがいいじゃない?矛盾するなら、『無い』ほうがマシじゃないかしら?」
エミアは、愕然とした。
まるで、レイスト一族こそ人類の頂点だと言われているような錯覚を覚えたからだ。