第一章 第二話 奪われたレイストの剣②
「レイスト一族・・・ってこと・・・?」
「そういうことよ。」
サイストは槍を向ける。
「その鎧・・・レプリカのシルバーミスリルとはいえ、『レイストの鎧』よね・・・と、いうことは、貴女こそレイスト・エミア・ティアムルってことね・・・」
「貴女が、ここに来た理由は判ってる・・・!『レイストの剣』ね!」
「そう。貴女に協力を求めようと、拒否するに決まっているから。この国は基本、職業は選べる。にも拘わらず貴女は騎士・・・家訓に従って邪魔しに来るに決まっている・・・」
「馬鹿な!平和を守る役割を二代目レイスト様に命じられた子孫が、平和を壊そうとするの!?」
エミアは剣を抜いた。
「・・・貴女みたいに全てに恵まれていたって、『周囲』または『親』に恵まれているってわけじゃないのよ・・・白いものは容易に黒くなる・・・」
サイストは、槍を天に掲げる。
「・・・・・・真空刃!」
そのまま構える。
「覇王真空槍!」
「・・・覇王雷獣剣!」
二つの技がぶつかったが、吹き飛ばされたのはエミアだった。
「武器の差は大きいわね・・・見てのとおり普通の魔法を上乗せしてもこの違い・・・」
「だからって何よ・・・!」
「確かに、一族は皆才能があって、いろんな国に仕官したり商売を立ち上げたりして成功している・・・
でも、その子供が全部そうなるかしら・・・?」
サイストは続ける。
「確かに見事に親を継いでその仕事を続けられる・・・でも、親がその器を越えて過度の期待をしていたらどうかしら・・・」