第一章 第一話 奪われたレイストの剣①
他にも、斧使いや魔導師なんかも登場させます。
仕事を終え、エミアは屋敷に帰宅した。
レイスト・エミア・ティアムル。
十六歳。
騎士学校を主席で卒業し、二年で白銀騎士となり、王女護衛の任に就いた。
花形職である。
周囲の風当たりも悪くなく、代を経て薄まったエルフの血は、母親であるエミリアから補完された。
人狼の血を受け継ぐ(といってももう外見からは判らない)エミアは、まさに騎士にうってつけだったと言える。
「さて・・・」
門をくぐろうとした瞬間、すさまじい殺気を感じる。
「宝物庫の方だ!」
ティアムル邸宝物庫・・・
そこには、先祖である二代目レイストが使用した魔法具を始め、ものすごいものや変なもの、理解不能なものが保管されている。
その中で、最重要一級品こそ、レイストの剣である。
二代目レイストが使用した剣技には、魔法剣というものがあった。
剣に魔法を宿らせて敵を斬るというものだ。
中には、ミスリル程度では耐えられないものもあったとか。
しかし、それらをことごとく耐え、彼を勝利に導いたのがこの剣。
もし奪われたら、邪悪な者に対抗するのが難しくなってしまう。
宝物庫は、壁が破られていた。
そこには、金髪で軽鎧をまとった少女がいた。
右手に槍を持っている。
「さすがは、『レイストの槍』ね・・・私の『魔法槍』であっさり壁を破るんだもの・・・」
「誰!?あなたは!」
すかさずエミアは剣を抜いた。
ミスリルの特注品『エミアの剣』である。
「私は、サイスト・ティアムル・・・
レイスト・ティアムルの第二子ファレスト・ティアムルの末裔にして、『レイストの槍』を預かる者。」