決戦!光に還る・・・
「うおおおおおおおおおおっ!」
レイストが剣をデラルに突き立てた。
しかし、彼は剣を抜こうとしない。
-な・・・何をする!-
「知れたこと!お前を内部から『破壊』する!」
そのままレイストは、デラルの内部に突入する。
『ここは・・・』
闇・・・
暗闇・・・
寒い・・・
苦しい・・・
憎い・・・
ありとあらゆる憎悪が、レイストに流れ込んできた。
だが・・・
-産まれてきたかった・・・でも・・・-
『そうか・・・水子か・・・エルフの文明も、とんだ置き土産を残したものだ・・・』
文明が発展すると、理不尽な理由で産まれる前に捨てられる子が増えるという・・・
おそらく、それを核にして、負の沈殿物を無尽蔵に吸収し続けたのが彼の大魔王であり、デラルなのだろう。
ならば・・・
「光よりもなお明るき者・・・神よりもなお聖なる者・・・金色に輝きし光の王!
我、汝に願う・・・
我と汝の力以て、我が前の救われぬ魂に浄化の光を!」
デラルが、光に包まれた・・・
その光の中からは、小さな光を抱えたレイストが微笑みを湛えて歩いて戻ってきた。
「レイスト!」
セリナの瞳からは、大粒の涙が零れ落ちた。
「デラルはどうなったの?」
「これが、デラルさ。大昔の文明が、もっと大きくなろうと、もっと豊かになろうと、もっと強くなろうとした結果の犠牲者たち・・・」
セリナは、レイストが言わんとすることを理解した。
「私がこれを受け取ればいいのね?」
その答えの意味することも・・・
セリナは、レイストから光を受け取ると、自分の腹に押し当てる。すると、光は、腹の中へ消えていく・・・
レイストは、セリナを抱きしめた。
「よろしく・・・私のだんなさま・・・」