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決戦!愛・・・
その戦いは、既にセリナたちの介入できるものではなかった。
「なんて歯がゆいの!あの二人だけに・・・!」
ユムが拳を握り締める。
レイザールたちも黙って見ている。
しかしセリナだけは違った。
天を仰ぎ、手を組んで祈っていた。
「神様・・・どうか・・・あの二人を勝たせてください・・・世界のためでなく・・・レイストのために・・・二人の幸せのために・・・」
ユムは、愕然とした。
祈っている・・・!
信仰に最も縁遠いはずのセリナが・・・
対して、神官であるはずの自分は何をやっているのか・・・
絶望して、立ち尽くすだけでないか・・・
「・・・私には、少なくとも今祈ることはできない・・・
セリナのあの姿を見てしまったから・・・」
デラルに勝つことは、希望が持てた。
だが、ユムは別のことに絶望した。
「私にレイストの側にいる資格はなかったってことね・・・」