第七章 第四話 勇者レイスト
「勇者レイスト!」
「さよう。だが、この身体は、実体ではない。霊体だ。」
言うが早いか、勇者レイストは、剣を抜く。
「私と手合わせしろ。他の者は手出し無用!」
勇者レイストの鋭く早い剣戟を、剣で受けるレイスト。
「ほう・・・この剣の流派は、ティアムル流か。するとそなたの国はトラルティアとみた。」
「くっ!」
レイストは、勇者レイストの攻撃の一撃の威力を殺さず、後ろへ跳び、印を結ぶ。
「・・・ギガボルト!」
剣に落雷し、スパークする。
「覇王雷光剣!」
だが、勇者レイストは剣で受けの姿勢に立つ。
「絶対魔法防御!」
「!!」
そのまま、魔法の力を無効化し、剣だけを受け止める。
「つめが甘いぞ二代目。君は義務だけで戦おうとしている。ここまでの実力を身につけたのは見事だし、素質がよかったのも確か・・・しかし・・・!」
そのまま、腹に蹴りを入れる。
「ぐはっ!」
「自分にもできないことがあると知れ!」
「でも・・・やらなければならない・・・!でなければ、ほとんど忌み児のような僕をここまで育ててくれた両親にどうむくいればいい!事実を公表しないでおいてくださった陛下にどう顔向けができる!
確かに僕の使命は、輪廻の呪いを打ち消すことだが、決してあなたのためではない!」
レイストは立ち上がる。
剣を構えて突進する。
「究極奥義・ティアムレットバースト!」
しかし、勇者レイストは微動だにしなかった。
「ふふ・・・彼の技は、百連撃だ。君はわずか二十連撃。しかし、君の本音が出たところで合格としよう。そして、私のようなものは、もういなくていい。さあ、纏え!レイストの鎧を!」
レイストが纏っていた鎧が、勝手に外れ、勇者レイストが纏っていた。
「いいのかい。勇者レイスト。」
金竜王が訪ねた。
「はい。では、盾を彼に渡してやってください。結局は、生き残った者と今生きている者が、今の世界を創るのですから。」
そう言うと、勇者レイストの姿は、幻のように消える。