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第七章 第一話 霧の塔
霧の塔。
霧に包まれた塔で、霧の力を持つ竜神エリシャの棲む塔である。
その最上階に、巨体を持った竜がいた。
「時が来たのですね。私は、エリシャ。竜神と呼ばれています。」
言うと、エリシャの姿は人へと変じる。
「魔王デラルの城は、世界の中央・内海の孤島パスキールです。しかし、焦ってはいけません。まずは、北大陸のベルナード山脈頂上の竜族の五人の王に会いなさい。」
「竜族五人の王?」
レイストが訪ねた。
「はい。竜族は、黄金竜、白銀竜、赤竜、青竜、白竜、黒竜といった種族からなっており、特に五大族長たる金竜王、銀竜王、赤竜王、青竜王、白竜王の五人が、合議制で竜族を統括しています。あなたがたは、彼らに会わねばならない。なぜなら、彼らこそが、レイストの盾を持っているからです。」
「「ええーっ!」」
レイストたちの声がハモッた。
「じゃあ、急がないと・・・」
レイストたちは、きびすを返し走り出そうとした。
「ちょっとまてい!」
エリシャが、ツッコミを入れる。
「コレを忘れんじゃねえよ!」
と、言いつつ、輝く珠を投げつける。
「せっかちな!これだから若いモンは・・・」




