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序章
その世界は、人間だけでなく多様な種族が生きていた。
強大な魔法力を有するエルフ族から始まる文明が栄華を極めていたが、
エルフの文明は、突如として滅び、世界中に痕跡を残すだけとなっていた・・・
当然の流れとして、かつて自給自足の生活を送っていた人間が、群雄割拠を始め、地上の八割を埋めるようになった。
だが、その隙を突くように、闇の種族『魔族』が世界に侵攻を始めた。
とはいえ、それを誰も手をこまねいて見ていた訳ではない。
王位継承問題で、東西分裂を起こしかけていた『トラルティール王国』の王太子にして『東トラルティール総督』トラルティアの呼びかけに応じて、
エルフ族、
獣人族、
ボビット族、
ドワーフ族といった『人』に属する種族が同じ戦場に集まり、世界を闇に覆った魔王デラルに対して戦いを挑んだ。
しかし、その魔力は凄まじく、兵たちは次々と屍に変わっていく・・・
その絶望的な状況下・・・
銀の鎧を纏った、ハーフエルフの魔法剣士が、魔王に立ち向かい・・・
そして、打ち倒したのだ・・・
剣士の名は、エルフの言葉で『光』を意味する『レイスト』と言った・・・