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第五章 第四話 新世界
ヘクセンティアール王は、博学だった。
国王マリネス五世。
彼は、海上貿易と情報管理で財を築いた。
「時にお母上は、遠くにいる者と会話をできる魔法具を完成させ、特許をとり、商品化されようとしているとか。」
それは、レイストも知らなかった。
「まあ、とにかくだ。炎のレイピアは、ルーシャートの地底神殿に、吹雪の弓は、海底神殿アトラクアにあるとされる。」
「どーやって行くの?」
セリナが聞く。
周囲の空気が凍る。
「そこで、水系の魔法と風系の魔法だ。」
マリネス五世は、一冊の魔道書をレイストに手渡した。
「水系魔法の基礎が書かれている。君ならば、水の結界を張ることすら可能だろう。」
レイスト・ティアムル・・・
晩年に『二代目勇者レイスト』『レイスト一族ティアムル宗家開祖』『光の勇者』とも称されるようになるが、今の彼はまだそれを知らない。