第四章 第四話 真実
ありがちな展開で、ごめんなさい。
どっかああああああああああああああああん!
空の一角に光が見えたかと思うと、それは、洗濯物に激突した。
「いてててて・・・」
「コントロールが下手糞よ!」
「そうよ!気をつけなさいレイスト!見なさい!洗濯物が泥だらけよ!」
メイド服を着たエルフが、レイストを怒鳴りつけた。年のころ十五に見える。
「それより母上!」
「オリハルコン?これだけあればいいでしょ。」
エリティアは、あっさりとオリハルコンの鉱石を取り出した。
「これをつくるために必要だったんだけど・・・試作品ができただけでよしとするか・・・」
エリティアが、出したもの・・・
「これって・・・魔法力増幅のタリスマン!」
「我が軍の教導魔法騎士部隊に、対デラル軍用にね・・・」
「ところで、あんた・・・わざわざ帰ってきたところを見ると、何かあったわね・・・」
「母上・・・昔っから、僕が産まれた時のことを話してくださいませんでしたよね!なぜです!?」
「実は、グレイス、陛下との間の極秘事項となっていたんだけど・・・この時がついにきてしまったかというところか・・・」
十五年前・・・
ティアムル邸に、二つの産声が響いた。
「やった!でかしたぞエリティア!双子とはな!」
「これで、ティアムル家の安泰だのう。」
エリティアは、王の立会いのもと、双子を産んだのだった。
「それで・・・金髪の方のがレイスト。『光』よ。黒髪の方がヴェイスト。『闇』。光と闇のように、助けあってたくましく生きるように・・・」
「そうだな。」
「うむ。」
しかし、その次の瞬間・・・
ヴェイストの姿が掻き消えた。
『フハハハハハハ・・・ご苦労・・・!これで、デラル様は復活される!』
誰もいない空間に声が響いた。
「ま・・・まさか・・・魔獣ガルナートとは・・・!」
グレイスは、レイスト伝説をエリティアから少しではあるが、聞いていたのだ。
『察しがいいな。さすが勇者グレイス!ガルナートは我が同胞。面白かったぞ・・・勇者と魔王誕生の茶番劇は・・・』
「くそッ!わが子を魔王になどさせるか!」
グレイスは、火球を放ったが、空を焼くだけだった。
『我が名は、魔竜バルキリアス・・・さらばだ!』
「それ以来、この事実はこの日が来るまで、公式に抹消となった。」
エリティアは、無表情だ。
が、見るものが見ると、無理にそう見せているようにしか見えない。