第四章 第三話 もう一人のハーフエルフ
ユムの登場です。
「こ・・・これは、神霊魔法・・・!」
ヴェイストは、金縛りにあったようだった。
「間に合った・・・!」
そこには、ハーフエルフの少女がいた。
セリナが着ているような服の上に、貫頭衣のようなものを纏い、腰の部分をベルトで留めている。
「近場の町まで跳ぶわよ!レイスト!瞬間移動は使えるわよね!」
「あ・・・ああ。この地とかの地を繋げ!瞬間移動!」
その瞬間、レイストたちの姿は消えた。
「逃げられたか。まあいい。目的は果たしたのだからな・・・」
ヴェイストも姿を消した。
「ありがとう。礼を言わなきゃならない。君の名は?僕の名は・・・」
「知っているわ。レイスト・ティアムルでしょ?
私は、ユム・インダストリア。あなたの母上の友人の子と言えばわかるわ。」
「えっ!じゃあ、世界樹の里のリシェンナって・・・」
「そう。私の母のこと・・・」
ユムは、全員をぐるりと見回す。
「さて・・・まず、レイスト。今のままじゃ、あなたは勝てない。理由は二つ。」
「判っている!一つは実力・・・
もう一つは・・・」
「そう・・・伝説の武具。レイストの剣・レイストの鎧・レイストの盾。
王子様も、世界樹の剣が必要ね・・・」
レイザールは何かを考えていたが・・・
「王宮に出入りしているホビットハーフの鍛冶師がいたな・・・冗談で材料さえあれば、レイストの剣を造ってみせるって・・・でも材料がいるとも・・・ん?
確か、レイストの母上は、錬金術師だともいってたぞ・・・材料のオリハルコンを作ることはできずとも、研究素材として幾つか確保しているに違いない!」
レイストは、頭を抱えつつ、印を結んだ。
「あのマッドサイエンティストに頼るハメになるとは・・・」




