第三章 第二話 大喧嘩の結末
アベックを見ると、殺意を抱くのは私だけでしょうか?
結局、二人を会わせたところで、大喧嘩が始まった。
「炎の精霊よ!波動となりて、敵を討て!火炎波動!」
「氷の精霊よ!吹雪となりて、敵を討て!吹雪波動!」
この二人・・・
それぞれの集落の随一の使い手で、各々、火炎魔法・吹雪魔法を得意とするようだ。
「「わああああああああああああああああああああああああああああっ!!
森が燃えるっ!
凍るっ!」」
エルフやダークエルフたちは、右往左往している。
「いいのか?止めんで?」
レイストは、傍でクッキーを齧っているセリナに訪ねた。
「いいの。」
セリナは、珍しく無表情で耳を忙しなく動かしている。
その間にも、攻撃魔法の応酬は続く・・・
「だあああああああっ!火炎球!」
「ああああああああっ!吹雪球!」
ありゃ?
どうやら、互いの魔法力が底をつき始めたようだ。
「なるほど・・・獣人らしい解決法だ・・・他になかったんか?」
セリナは、ん?と意味ありげに尻尾を振ってみせる。
「はあはあ・・・炎の弾丸!」
「・・・・・・・氷結弾!」
ぱきいいいいいいいいいいいいん・・・
エリナとルザルの魔法が、相殺しあって消える・・・
「や・・・やるじゃん・・・!」
「君だって・・・!」
なんと!
二人は、抱き合ってキスを始めてしまった。
「あーやだやだ・・・こういうのは・・・」
そこには、仏頂面のやさぐれたレイストがいた。