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第十二章 第三話 聖なる炎
それは、対極に位置しながら、「同じ」者・・・
「天才」であるがゆえに、賞賛された者。
「天才」であるがゆえに、頂点を極めねば許されなかった者。
エミアは、呪文を唱え始めた。
願わくは、この「世に出たくなかったが、引きずり出されたあげく、駆逐された男」に対する救いを求めて・・・
「神」よ・・・!
そう、祈る・・・
「鳳凰浄化炎!」
ウォルストは、分子のレベルまで焼かれていた。
この術は、「邪悪な力と物質」を焼く術。
ククク・・・
「神」は、この私を「悪」と断じたか・・・
しかし・・・
「ほほう・・・魂だけとなっても、ここまで凄まじい奴は初めて見たぞ。」
「ちげえねえ。」
「まさしく、「間違ってはいるが、厳格な正義」の持ち主よね・・・」
「今は、休むがよいわ。我らは、お主の言う「古代人」。そして、今のお主の「神」の手のものよ。」
だ・・・大魔王!
「そうじゃ。優秀よのぉ・・・自ら、ここまで到達するとは・・・それにしても愉快じゃ。「勇者」から「魔王」が産まれるとはのお・・・」