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第十二章 第一話 王家の剣技
それは、トラルティアの剣。
名匠が鍛えた三本の一本。
久々に、「人間」を護るために、王家の正当なる血脈の者によって抜かれた。
レイストの剣が勇者の剣。
ティアムルの剣が呪いの剣。
トラルティアの剣が王者の剣である。
「ほう・・・剣自体が輝いている。まさしく貴殿は狼の姫だ。」
カオスもまた、剣を抜く。
ティアは、下段から斬りあげた。
凄まじい衝撃波である。
いくら半人狼とはいえ、ここまでの速度とパワーは生み出せない。
いつもエミアに隠れてはいるが、彼女はいつもの組み手の相手はエミアなのだ。
魔法では、エミアに劣るが、剣技では互角なのだ。
「トラルティア王太子ティア・トラルティア・・・参る!」
ギンッ!
剣と剣がぶつかる。
瞬速にして剛剣。
それがティアである。
「ほほう・・・なら、これはどうされる?」
カオスが、印を結ぶ。
「混沌雷光撃!」
「絶対魔法防御!」
見事、防いで見せる。
「奥義!ウォルフガングファレスター!」
この戦いで、連合軍の総大将が、「魔王」を打ち倒した意義は大きい。