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ハーフエルフ・アドベンチャー  作者: SHIN
第二部 勇者の少女
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転章 王の忠犬

突然ですが、ティア姫の母上の話です。

その頃・・・

当時、神聖騎士パラディンの中に騎士団長マスターナイト候補は二人いた。

実家の支配者・エリティアの弟子エミリアを孕ませ、結婚したばかりのバルディア・ティアムルと、

流れ者の人狼ワーウルフの少女ウィルである。

「まさか、こうなるとは・・・」

剣を構えるバルディア。

「両雄並び立たず・・・よく言ったものね・・・」

二人は、王立闘技場のステージに立っていた。

「しかし、なんとかならんか?騎士団長マスターナイト志望の理由・・・」

「い・・・いいじゃないの!陛下のお側にずっといたいってのは!」

そう。二人ともまじめで職務に忠実だが、バルディアは堅物。対してウィルは『ご主人様のためならば』というスタンスである。

バルディアの場合は、独り身を続けていたため、周囲は。「たまにはいいんじゃない?」という反応を示した。

しかし、ウィルは、そのまま拾われた犬である。

勝負は、一瞬でついた。

バルディアの勝ちである。



「ん・・・」

ウィルは、ベッドの中で目を覚ました。

「気がついたか?」

そこにいたのは、王その人。

「へ・・・陛下・・・!?」

「気がついたか?」

王は、にこやかな笑みを浮かべていた。

「あ・・・あの・・・騎士団長マスターナイトはどっちに?」

「バルディアだ。」

「えっ!?」

残念そうな顔をするウィル。

「しかし、適材適所という言葉がある。エリティア殿の予言で、大魔王がよみがえるという。ならば、次の王は強く賢い者でなくてはいかん。私は、自分の身は自分で守れる。が、国ともなるとそうはいかん。多くの騎士や兵の協力なくしてはな・・・そこで、皆を導き、自分の身を守れる次の王と、それを自身でできる女性を探していたのだ。」

「じゃ・・・じゃあ・・・騎士団長マスタアーナイトなんて選ぶ必要は・・・」

「うむ。まったくない。ただ、近年このトラルティアは多種多様の種族で溢れてきておる。よってここらで獣人の血を王家に入れても・・・と考えていたところ、行き倒れのそなたを拾った。」

「そ・・・それって・・・」

「うむ。余の一目ぼれというやつだ。あんまりそなたが騒ぎ立てるもので、こんな機会でもなければ余からは告白できなんだ。」

つまり、ウィルははめられたということに・・・

「それに、王妃の件を受けてもらうかどうか以前に、上には上がいるという事を身を以って知ってもらいたかった。」

そうして、流浪の狼は、トラルティア王妃の座におさまった。

周辺国特に、ウズドガルドからは『王の忠犬』と呼ばれた。

しかし彼女はそれに対してまったく怒るそぶりを見せず、言われる度に王に甘えて見せたという。

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