第十一章 第五話 神と悪魔から目を背けた者・・・
「無詠唱とは、思念詠唱ともいう。すなわち呪文を長かれ短かれ、『思考』する必要がある。だが、今の私にはその必要が無い!」
「くっ!」
エミアは、ふとウォルストの背後を見た。
玉座があり、さらに背後に祭壇がある。
そこにレイストの槍、レイストのメイス、レイストの弓が刺さっている。
「突然剣が消えた時は驚いたが・・・どうでもいい。いっとき武器が揃えば封印自体は解ける。とはいえ・・・」
ウォルストがマントを翻した。
「貴様らは、自分の価値観で人に善意を押し付ける。『自分がされたら嫌なことは、他人にするな。』か。よく言ったものだ。だが、『他人にとってされればよいこと』だったらどうだ?考えたことはあるか?」
ウォルストは続ける。
「そのすれ違いこそが間違いだ。心と心で通じ合えばだと?それでも・・・相手の考えていることは・・・」
ウォルストは、黒い雷撃を放った。
「っく!」
エミアは、絶対魔法防御でやりすごす。
「『理解』できんのだよ!」
「そんなことは・・・!いつか解りあえるときがくる!」
「いつか・・・また『いつか』・・・そんな甘い毒に踊らされて、永遠に苦しみたいか!?知れば誰もが貴様のようになりたいと願うだろう!貴様のようでありたいと望むだろう!故に許されない!貴様という存在は!」
ウォルストの最後のセリフ・・・ガ○ダムSEEDより引用しました。