第十一章 第二話 それでも人は
「さよなら・・・『私の剣』・・・」
エミアは、灰と化したエミアの剣を見た。
だが、その灰の中に金属のようなものを発見した。
「これって・・・」
灰を取り除け、観察してみる。
「レイストの剣!」
エミアは、これを鞘に納める。
理由はわからない。しかし、使命の一つは果たした。
「こ・・・殺しなさい!あなたの勝ちよ!」
ファルストはエミアにそう言った。
ぱあん!
エミアはその言葉に、平手打ちで返した。
「わかってるの!?自分の身体のこと!確かにあなたは世界中の全ての人が嫌いでしょうよ!でも、あなたは、ウォルストだけは愛したんじゃないの!?確かにあなたは『本当の』あなたを愛してくれる人が嫌いでしょうよ!でも、それを理解した上で愛してくれたウォルストだけは愛したんじゃないの!?」
エミアはまくしたてる。
「あなたは、『人』として、いえ・・・『女』として使命があるはずよ!世界を壊して、全ての『人間』を殺したっていいわ!けど、その時は、あなたの赤ちゃんさえ殺してしまうのよ!わかる!?」
「あ・・・赤ちゃん・・・?」
「確かに、あなたの子孫は罪人の子孫として生きていくでしょうね・・・それでも人は・・・いつか許してくれるはず・・・三代目ヴェイストであるディナがそうであるようにね・・・ダイアレートを創った連中?糞くらえだわ!勝手に全てに絶望して、勝手に世界を滅ぼそうとして!人と人は解りあえる・・・多くの言葉を交わさなくても・・・」
つまりは、そういうことでした。