第十一章 第一話 魔女の中の希望の灯
何かがおかしかった。
ファルストは、ルーンガトリングを時折放って来るだけで、特に攻撃らしい攻撃はしてこない。
彼女の戦闘力を考慮に入れれば、ルーンブレードで斬りかかってくることもありうるのに・・・
「おかしいわ・・・」
ルーンガトリングの魔法弾をかわしつつ、火炎弾で牽制し、エミアは考えた。
「そういえば・・・」
どうも、ファルストは勝負を焦っているように感じる。
「まさか、魔法力の消耗が激しいとか?」
それも違うような気がする。
「ファルストの身体の奥から魔法力・・・!」
エミアは、エリティアから以前聴いたことがある。
『人間』には誰しも魔法力があると。
女性の身体の奥から魔法力を感じることがあれば、それはすなわち・・・
「だったら、手遅れになりかかってる!策に乗りたくは無いけど、やるしかない!」
そう考えた瞬間・・・
エミアは剣を構え、印を結んだ。
「神魔斬刀!」
『ようやく出したわね・・・っ!』
ファルストの反撃は遅かった。
彼女の反射神経からすると、避けられたはずなのに・・・
「だあああああああああああああああっ!」
剣の光の刃が、全幅三メートル・全長七メートルに達する。
これが、この術の真の姿だった。
刃は、魔導ゴーレムのみを破壊し・・・
エミアの剣は灰と化した・・・