第十章 第四話 絶望の魔女
「待っていたわ。勇者様。」
相も変わらず無表情でそこに佇んでいたのは、ファルストだった。
「さあ・・・始めましょうか・・・!」
言うと、全長十メートルほどの魔導ゴーレムが歩いてきた。
「まさか、コレも人工知能が搭載されているんじゃないでしょうね!」
「そんなわけはないわ。サブ操縦機能として搭載しているけど、あなたが言うようなものではないわ。」
ファルストが杖を振るうと、魔導ゴーレムの前面装甲が開く。
そこにファルストは乗り込む。
と、同時に装甲が閉じる。
『完全自律型は、01型グラーゼン・・・これは私が使用するカスタムモデル02型ファルゼン・・・』
「もしあなたが、トラルティア王都に産まれていたら、母上のいい弟子になっていたかも・・・」
エミアは、剣を抜いた。
「・・・極大雷電撃!」
エミアが放った雷は、無効化されていた。
バチバチと装甲の周囲から音がする。
「まさか『電磁結界』・・・?」
『そうよ。そうくると思っていたから。」
「だったら・・・!」
エミアは、更に呪文を唱えた。
「・・・神魔核融合《エルゲイストボムズ!》」
しかし、吹雪系の魔法が発動して防御してしまう。
『一度見ただけで、大魔導士の術をものにするとはね・・・その娘とはいえたいしたものだわ。』
だが、エミアには、優位に事を運んでいるくせに攻勢に出ないファルストに違和感を覚えていた。
まるで、理解のされない己を、態度で無理やり理解をさせようとしている・・・そんな印象を受けた。
「やっかいな人が、やっかいな兵器を操縦しているものね!」
『フフフ・・・』
ファルストが不気味な笑い声をあげた。
『いい気味よ。』
「どうすればいい・・・?」