第十章 第二話 人の本当の敵
「さて・・・ここは誰が我々の相手をする?」
グランデが尋ねた。
「全員で相手にして我らを倒しても構わん。が、お前たちには時間がないぞ。なぜなら・・・」
ビーストが言う。
「ウォルストは、大魔王ダイアレート様を復活させるための儀式を大詰めにしている。そして魔王もここにいる者だけ。貴様らの真の敵は、「レイスト一族」の三人のみ。」
「どういうことよ。それを私たちに教えるっていうのは!」
ディナが怒鳴った。
「我らは純粋な「滅び」。それよりも、貴様とエミアならば、ウォルストが具体的に何をしようとしているか気付いているのではないか?」
「復活させたダイアレートを自分の中に取り込もうというのね・・・」
「奴の狙いから言えば、暴走させて世界を破壊してもいいが、今現在邪魔者が多すぎる。」
「そういうことだ。」
それを聞いたヘイゼルは、ため息をついた。
「まったく・・・『逃げの論理』ばっか達者な奴らだ。なぜ、そうなるか?」
ヘイゼルにしてみれば、言わば負け犬のまま隠遁しようとしてそれができない彼らの気持ちがわからない。
「で、サイストとブラストは、いい面の皮だし、エミアたちは一番可愛そうじゃないのか!」
「なるほど・・・『宗家』の一つと血縁とはいえ、傍系の貴様にはわからんのだろう。」
唐突にエクスとルーシィが、進み出る。
「時間が無い。会話の要点が互いにわかっていても、下の者を相手には伝わらんさ。」
「エクス王子のおっしゃるとおりです。皆様は先へ!」




