第九章 第四話 ウォルスト城突撃!③
「覇王爆狼剣!」
エミアの剣から、炎の狼が飛び出て、正面の扉を破壊した。
「す・・・すげぇ・・・」
ブラストが絶賛した。
「こんなのは、エミアの魔法剣の一部だ。
代々のティアムル宗家当主は、自分のために力を使うことを嫌がる者が多い。エミアは、『父・レイスト』に憧れてはいたが、その後世の名声よりも、卑屈なほどにそれを嫌がるところに憧れをもっていた。
だからなのかはわからんが、代々の宗家当主は、名声に関係のない者または、鼻にかけない者を半ば本能的に伴侶に選んでいたようだな。」
ヘイゼルが説明した。
「例えば・・・『母・セリナ』は天然が入った人狼だったろうが。」
「確かに・・・」
思わずうなずくサイスト。
「だからこそ堪えるのさ。傍系とはいえ『お前ら』の『暴挙』には。ま、お前たちは『厚生』したようだが。」
「勝手に、盛り上がらないでくれるか?」
扉の向こうに男がいた。
「ビースト!」
そこにいたのは、獣魔王ビーストだった。
「まったく、人間どもも罪な連中よ。
世界を救ってくれた一族の末裔共を利用できる手駒に育てず、自分らに対する『害虫』にしてしまうんだからよ。あげくが、人間の体裁をとった『魔王』と『魔女』を生み出しやがった。傑作だぜ。
あの世で『父・レイスト』様も泣いてるぜ。ん?お前まで来たのか。竜魔王グランデ。」
「ああ。あの魔女が正直怖くてたまらん。『人間』のくせにおぞましすぎる兵器ばかり造りやがる。」