第九章 第三話 ウォルスト城突撃!②
エミアは、剣を見た。
エミアの剣・・・
騎士に任官してから愛用している特注品である。
ミスリルとオリハルコンの合金で、7:3の比率である。
「これでは、理論上『神魔斬刀』の威力には耐えなれない。」
「どういうことだ?」
ヘイゼルが尋ねた。
「あなたが見た、神魔斬刀・・・あれは、理論上の60%の威力しかない。
つまり、この剣が耐えられるギリギリで放ったものよ。」
「ってことは・・・レイストの剣がなければ完成しない?」
「そう。」
言う間にも、神聖騎士たちによる攻撃は続いている。
「サイストとブラストによると、ウォルストに辿りつくまでに、『剣士』はいないらしい。だから、このことに『気づく』者は恐らく・・・」
「あの女・・・魔導師ファルストか・・・」
「ええ。母上も言ってたわ・・・その魔法力と俊敏さを活かすため、カスタマイズした魔装ゴーレムに乗ってくる可能性が高いって・・・。」
「しかし・・・」
ヘイゼルは、剣を腰に帯びた。
「確かに僕たちは、『生活』のインフラは完璧に整備した。でも、『精神』のインフラをどっかに忘れてきたのかもな・・・」
「ええ。このことで、お婆様を悪く言う人もいるわ。けど、それを使って生活の基盤を整えるのは、私たちよ。あんなになったり、したりはいけない。」
エミアは、マントを翻して、剣を抜いた。
「我が名は、レイスト・エミア・ティアムル!これより、主力部隊の開けた穴を通ってウォルスト城に突入する!」