第二章 第二話 盗賊征伐
盗賊団は、総崩れとなった。
レイストが放った剣が、盗賊たちをあっさりと打ち据えていったからだ。
セリナの掌底突きや、膝蹴りがおもしろいほど決まる。
「弱いね・・・」
そうだろうか・・・レイストはセリナの問いに答えず、そう思う。
釈然としない。
「ん?」
レイストは、呪文を唱え始める。
「氷よ・・・礫となりて敵を討て・・・氷結弾!」
次の瞬間、柱の影から現れた男が、氷の弾丸をはじき返した。
「この俺の気配に気付き、仕掛けるとはさすがだな。」
全身の筋肉が盛り上がった、大男である。
「この俺は、ドラース!この盗賊団の首領よ!」
「僕は、レイスト・ティアムル!トラルティアの騎士だ!」
レイストの傍らで、セリナがぷるぷると震えていた。
「わ・・・私・・・マッチョってだめなの・・・」
冷や汗を流すレイストが見ると、セリナの尻尾が萎み、耳がへたれている。
気を取り直して・・・
「天よ!裁きを!閃光の雷!」
凄まじい雷光が、ドラースを直撃した。
「この魔法・・・きさま・・・やはり、あのエルフの小娘の息子か・・・!」
レイストの顔色が変わる。
この男・・・
自分の両親を知っている!
動揺を隠しレイストは、右袈裟懸けを放ち、左袈裟懸けに斬りこむ!
「トラルティア騎士団流奥義・覇王十字剣!」
その一撃を受け、ドラースは昏倒した。
ドラースが、気になることを言っているような・・・