転章2-魔女の回想
そんな時、私は悟った。
確かに母は、私を愛している。だが、それは、私が欲しかった愛ではなかったのだと。
そうだ。
押し付けがましい愛があるから、愛で苦しむ者がいる。
最近、ネットで知った、『ウォルスト』という男は興味深いことを書き込んでいた。
『大魔王を蘇らせないか?』・・・
面白い。
矛盾を全て破壊しようというのか・・・
そう思ったとき、私は母を灰にしていた。
そして、私は自分の魔法力演算機のコアディスクやメモリディスクをナップザックに詰め込み、家に火を放った。
それ以降、私は笑うことはなくなった。
怒りを感じても、喜びを感じても、面には出さなくなった。
他はどうかは知らない。
だが、私には『感情』こそ無駄で『悪』。
そうして・・・
私は、仕えるべき『主』に出会った。
「お前が、あのファルストか。」
「はい。」
ウォルスト様は、私と同じ『気配』がした。私と同じ『匂い』がした。
「お前には、私の身の周りの世話をしてもらう。伽の世話もな。」
「はい。」
傍から見たら、無表情で会話をしていたように見えるだろう。
だが、私から見たら、彼は笑っていたように見える。
だから私は、彼の手を取った。