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第八章 第二話 苦悩の槍使い
「久しぶりね・・・エミア。」
「どういうことよ!私を助けるなんて!」
「そういうつもりはない。あえて言えば、ブラストに入れ込んでいた神様を観察していたから、組織のあり方に疑問を持ったってところかしら。」
サイストは、槍を旋回させる。
「私に攻撃を仕掛けますか?私は魔導師。いくらレイストの槍とはいえ、中距離戦は不利ですよ。」
ファルストは、淡々と語る。
「そうかしら?」
サイストは、構えた。
「狼牙爆裂拳!」
至近距離からの打突技である。
「今だッ!」
距離を詰めたところで、槍を振りかぶる。
「覇王雷光閃!」
だが・・・
「詰めが甘いですね。」
何と!帯電しているはずのレイストの槍を無造作に右手で掴んでいた。
「フフ・・・本当は、ブラストのレイストの斧も頂きたいのですが、あいにく私には手は二つしかありません。ではごきげんよう。」
そう言うと、ファルストはその場から姿を消した。
「なんなの・・・あの女・・・終始、顔が笑っていなかった・・・」
エミアは、震えが止まらなかった。




