「 その先にあるものを 」
最終話です!
兄様と私は二人で両親に手紙を書いた。
今の現状、そして、今後について。
勿論、兄様とセトの婚約、私とカイトの婚約についても書いた。
私達二人で国を守っていく事は出来なくなってしまったけれど、どうか認めて欲しいと。
そして、この国の為に物資や人を遣わせて欲しいとも頼んだ。
手紙は少しでも早くついた方が良いだろうと、クーが届けてくれる事になった。
クーが詳細な話もしてくれるという事で、私達はくれぐれもとクーを送り出した。
クーが出発した次の日に、この国の近衛兵が数人帰ってきた。
そして、内乱を起こした犯人を既に倒していた事を報告してきた。
こんなにもあっさりと事件は幕を閉じていた。
けれどその波紋が余りにも大きかった。
それから3日後、クーが帰ってきた。
クル王国からの手紙を持って。
手紙には兄様の元へと志願してきた学者や兵達が既に色々な物資を持って出発していること、そして、なにより私達の幸せを願っているという事が書いてあった。
婚約を心から祝ってくれていた。
その言葉に、急に故郷が恋しくなった私の気持ちに気が付いたカイトは、近いうちにクル王国に行こうといってくれた。
結婚前に色々準備も必要だろうからと。
そんな私達に、クーが対の指輪をくれた。
光をあてる角度によって色を変えるその指輪は、クーがこの国に帰ってくる前に神の元に寄り道をして二人でこの石に力を込めてくれたものだと教えてくれた。
この石をつけた者の心が通じ合っていれば、二人の魔力を使って空間を移動することが出来ると教えてくれた。
魔法の種同様、くれぐれも秘密を守って行く様にと念を押されて、私達はそれを受け取った。
「お前達に会えて、本当に良かった。
有り難う。
俺もこの精霊同様、この星が好きだった。
青く美しい星。
貧しくても、富んでいても、不器用ながらに、一生懸命生きようとしているこの星の人間が、とても好きだった。」
余り素直ではなかったクーが、別れ際に、そう言った。
そして、クーが私をギュッと抱きしめた。
私もそんなクーの背中に手を回し、抱きしめる。
「有り難う、クー。」
その先が言葉にならなくって、私は嗚咽を漏らしながら涙を流した。
「お前達の気持ちの全てが、俺と同じだから。」
そう言ってクーは私達の前から姿を消した。
きっともう二度と会えないのだろうと思った。
けれど、きっとクーは私たちをこれからも見守ってくれるだろう。
この世界を大好きだといってくれたクーに、この世界の幸せを見続けていてもらう為にも、頑張ろうと、私達は心に誓った。
「・・・お帰り、シータ。」
優しい声。
優しい空気。
私はやっとここに帰ってこれた。
「ただいま。」
私は今、この春の暖かい日差しの中、故郷クル王国に帰ってきた。
お父様とお母様、そして城の皆との再会を終えて、私は桜の精霊の元へ来た。
そして、私はカイトの胸に抱かれ、ここに居る。
「おてんば姫が、やっと帰ってきたのね。」
精霊の言葉に、私は少し笑う。
「ええ。あなたがくれたこの印のおかげで、私は沢山の精霊に味方してもらえた。」
「・・・・・・いいえ、それは只のきっかけ。
全てあなた達のこの世界を守りたいと思う気持ちが神に通じたおかげよ。」
私はううん、と首を振る。
私達だけじゃない。
この世界にいる人間、精霊様、そして神様その全てが同じ気持ちだったから。
私の言葉に、桜の精霊様はふふっと声を漏らせて笑った。
「幸せね。」
「えぇ、幸せ。
こんなにも皆が守りたいと願う世界にいられるなんて。」
「これからオーマ王国に行って、大変な事は沢山有ると思うけれど、がんばりなさい。
遠く離れていても、気持ちは皆、一緒だから。」
精霊様の言葉に、私は頷きながらも、この国に帰ってから、心に芽生えた里心がうずいた。
「けど、やっぱりここから離れるのは寂しい。」
そんな私の小さい呟きに、精霊様は、クスクスと笑った。
「まぁ、私の姫は、いくつになっても、可愛いわね。」
空気が更に暖かく私を包む。
「大丈夫。
あなたには、私や家族の変わりにカイトがいるでしょ?
それに、どうしても私に会いたいときは、あなたの宝物で、会いに来て頂戴。」
あぁ、暖かい。
これが私の故郷。
この世界を、私達は愛し守っていこう。
‥‥‥瞳を開けた時、優しく私を見つめてくれていたカイト。
その眼差しは、精霊様の作り出す空気のそれと同じくらい暖かくって。
私はカイトにそっと微笑んだ。
彼にも感じて欲しい。
この暖かさを。
愛に溢れるこの世界を。
長く拙い文章におつきあいいただき、ありがとうございました!




