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「 甘く揺れる・・・ 」

「出発の前に・・・・・・王と女王に逢って欲しい。」


 クーの話を聞いたその日の夜。

 カイトが私の部屋に来てそう言った。

 私の体調は、カイトへの想いを認めた瞬間から目覚ましい回復を見せ、今日の夕方、急遽出発日が明日の朝と決まっていた。

「えぇ、勿論。」

 勿論の返事。


 実は私も気になっていた。

 こんなにもお世話になって・・・・・・しかも、暫くは兄様が残り、その世話もお願いする事になる。

「兄様の事も、お願いしなくちゃいけないし。」

 私がそう言うと、カイトは首を振った。

「その話もいいけど、それよりも。

 ・・・・・・俺はシータを婚約者として紹介するつもりだ。」

 カイトの言葉に、私は飛び上がるほどびっくりした。

「カ、カイトッ。

 わ、私、そんな急に、心の準備が・・・・・・。」

 だんだん尻つぼみになる声。

 だって、さっきやっと決心したばかりなのに、もう両親への報告!?

 驚く私に向けられる、カイトの真剣な瞳。


 ・・・・・・嬉しい。

 カイトの気持ちが。


 ・・・・・・けど、まだ、心が追い付かない。


「まだ・・・・・・自信、無いの?」

 覗き込むように視線を合わせて来たカイトの瞳が揺れるて見えた。

 声も少しかすれて聞こえて・・・・・・私の胸がドキッとした。


 ・・・・・・もしかして不安、な、の?

 私が不安にさせてるの?


 そう思った瞬間、私の胸はギューッと締め付けられて、とても切なくなった。


「ごめんね、カイト。

 ・・・・・・大好きだよ。」

 そう言って、私は思わずカイトを抱きしめた。

「・・・・・・大好きだよ・・・・・・。」

 カイトはそんな私の行動にびっくりした様で、私の腕の中で体を硬くした。

 けれど、直ぐに私を抱き返してきた。

 もの凄い力で。

「ごめん。俺、焦ってた、な・・・・・・。」

 私の髪に頭を埋めて、ゆっくり優しくそう言ったカイト。

 大好き。

 胸の中に、カイトへの想いが溢れるほど広がった。

「明日・・・・・・挨拶、させて?

 ・・・・・・ちゃんと挨拶出来るか不安だけど。」


 兄様も、ククルも居ない。

 挨拶するとしたら、勿論知っているだろうけど、身分もハッキリと告げて、国の代表としてちゃんとしなくちゃいけない。

「服はこっちで用意してあるから。

 シータがこっちに来て直ぐに用意させた。」

 私の髪に顔を埋めたままカイトがそう言った。

「この国の服。

 ・・・・・・ずっと着せてみたかったんだ。」

 言葉と共に熱い吐息が少しずつ下に下がってきて、耳に掛かった。


 体中に電気が走る様な感覚。

 思わず体がビクッとする。


「シータ・・・・・・。」


 カイトの熱い、囁き。

 そして、その言葉と同時に、耳にキスされた。


 あっ。


 そう思った時には、カイトの唇は私の首まで来ていた。

「愛してる・・・・・・。」

 そして熱い吐息と熱い唇が私の首に強く、甘く触れた。

 カイトに触れられたその場所から、再び電気が走り出して、私はカイトを抱きしめていた腕から自然と力が抜けてしまった。


「シータ・・・・・・いい?」

 そんな私を抱く腕を下に下げ、私の上半身を軽く逸らす状態にして、更に首の更に奥へキスをしながらカイトが聞いてきた。

 い、いいって、もしかして・・・・・・そういう、事!?

 突然の展開に、私は付いていけず、言葉を失う。

 どうしよう。

 そんな、心の準備も全然無いよっ。

 そんな私の心に気が付いたのか、カイトが繰り返すキスを止め、私の顔を真っ直ぐ見つめた。

「シータが、欲しい。」

 カイトの真っ直ぐな言葉。

 そして、とても真っ直ぐな瞳。

 それはとても甘く揺れていた。


 一瞬吸い込まれそうになった。


 カイトはそれを見逃さなかった。


 二人の視線が甘く絡み合った・・・・・・と思ったその瞬間、カイトの唇が優しく、甘く私の唇に重なった。

 蕩けるような甘い感覚が私を包む。

 カイトへの想いが、カイトへ心を許しているのを自分で感じる。


 いつもと違うカイト。

 けれど、そんなカイトを知れた事も嬉しい。

 そんなカイトも、愛しい。

「愛してる。」

 私の体から力が抜けた事を感じたカイトが優しく呟く。


 そして私達は結ばれた。

 身も、心も。


 心の中の魔法の力が、少し強く、安定した物になった様に感じた。








「おはよう。」

 目覚めると、目の前には、カイト。


 一瞬で昨日の夜の事を思い出して、私は布団を被る。

 顔に熱を感じる。

 絶対に顔が真っ赤だ。


「・・・・・・おはよう。」


 何とか挨拶を返す。

 いくら心ではカイトの心に答えようとしていても、どうしても恥ずかしくて私は、うろたえてしまった。


 何度も何度もキスと言葉と抱擁で私を包みながらカイトは私を愛してくれた。

 それはとっても嬉しくって、嬉しくって、幸せだと思う。

 けど、どうしてもカイトをまっすぐに見れなかった。

 そんな私の頭の上で、クスッと聞こえたかと思うと、カイトはやさしく私を抱きしめてくれた。

 そして、大好きだよ、と、愛してる、を何度も何度も言ってくれた。

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