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「 打  開  策 」

 目が覚めると窓から光が差し込んでいて、日がかなり高いことを教えてくれていた。

 どの位眠っていたんだろう。

 私はゆっくりと体を起こした。

「カイ、ト?」

 近くにカイトが居るような気がして私は小さくそう呼びながらゆっくりと辺りを見渡した。

「おはよう。

 どう、様子は。」

 やっぱりカイトは近くに居たようで、枕元にゆっくりと近づき、そっと座った。

 そして私の頬にそっと手を触れた。

 暖かく、大きく、硬い手。

 私はボーっとする頭のままその手にそっと触れた。


 カイトの体がビクッと震えた。


 私はその動きでハッと正気に戻った。

 私はその震えを知っているから。

 それは相手を意識しているから。

 私はあわててカイトから手を離した。


「ごめんなさ・・・・・・」

 私がそう言いきらないうちに、カイトが私の手を捕まえた。

「謝らないで。

 俺は嬉しいんだから。」

 カイトの言葉に思わず俯く。

 無意識の中、なぜ私はカイトの手を取ったのだろうか。

「ごめん、困らせたね。

 話をしよう。

 精霊の話をね。」

 カイトが話を切り替えてくれて助かった。


 けれど、心の端で、自分の無意識の行動が気になっていた。







「あれから2日たったよ。

 今皇女の結婚相手を探し始めた所だ。

 けど、どの国もそれ所じゃないし、この国の現状を考えたら、余り期待できないけどね。

 あと、残った国民を城の周辺に集めた。

 で、本当に少なくって、どうしようかって所。」

 私が精霊との話を伝えると、カイトは今の現状を教えてくれた。

「兄様は?」

「ファストは皇女からかなりの信頼を得ていて、一日中行動を共にしている。

 国民に声を掛けたり、臣下と話し合ったり。」

 そう言ってカイトは私の顔をそっと見つめた。

 カイトが何を考えているのか私には解からず、とりあえず私は話を進めた。

「カイトは何をしてたの?」

「俺はこの国の歴史や周りの国との係わりについて文献や学者のシュウと話をしたり。」

 さっきよりも更に私の表情を観察するような仕草のカイトに、私は何かおかしい事でも有るのか聞こうと口を開きかけたその時、ドアが小さくノックされた。

 私が返事をする前にカイトがベッドから腰を起こして返事をした。

 姿を現したのは、兄様だった。





「良かった。目が覚めたんだな。」

 そう言って優しく微笑みながら私のベッドに腰を下ろす。

 さっきまでカイトが座っていた場所に。

 そして私の頬にそっと手を触れて、そして優しく撫でる。


 カイトとは違う体温。

 私は頭の端で小さくそう感じていた。


 ふ、と兄様の後ろのカイトと視線が合った。

 ジッと私を見つめる視線。

 その視線の中で私は兄様に触れられている。

 私は思わず兄様の手を握り、私の頬から離した。

「私は大丈夫。

 それよりこれからの事を話しましょ?」

 少し不思議そうな表情を浮かべた兄様は直ぐに後ろのカイトに視線を移した。

 無言で視線を合わせる二人。

 けれど直ぐに兄様は立ち上がり椅子を二つ用意し、一つをカイトへと勧め,もう一つへ自分が座った。


「この国の今後について、俺の考えを話す。」

 兄様の言葉に部屋の空気は一転し、私は一気に現実に引き戻された。







 兄様の話はとても衝撃的だった。

 この国はもうどうにも出来ないと言うこと。

 精霊の力が数日しか持たない事、国民が居ないという事が致命的らしい。

 とにかく近くの国に全員が移り住む

 そこに皇女の相手がいれば尚更良い。

 それが兄様とカイトの話をまとめた結果だった。


 それじゃぁ精霊はどうなるの? 

 思わず涙が溢れた私を兄様はギュッと抱きしめてくれた。

「この結果について精霊はどう感じるのか俺には解からない。

 けれど人間の俺はどうしても目の前の人間達を見捨てる事は出来ない。

 ・・・・・・力が足りなくて、すまない・・・・・・」

 苦しげな兄様の声に、私は思わず兄様に抱きついて泣いてしまった。


 そんな私を兄様はいつまでも強く抱きしめ続けてくれていた。

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