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放課後、メロメロ談義

「咲、エプロン持ってきた? 」


 待ちに待ってない放課後がやってきた。

 あんなに乗り気でなかったチアキがノリノリなのは意外だけど、

アタシは特訓ということと、エプロンのことでかなり気が重い。


「持ってきたけどさあ~。

妹のやつ借りたら、すっごい少女趣味で、恥ずかしいよ」


 あの後、あまりにも恥ずかしいので、おかーさんに「アタシのエプロン買って! 」と頼んでみたものの、

「美季に借りたんだからいいでしょ? 」と相手にされず……。

 ならばエプロンを買ってくるしかないと思ったら、近所のスーパーは「店内大幅改装のためお休み」だそうで……。

アタシは仕方なくあの、フリフリ少女趣味の恥ずかしいエプロンを持ってくる羽目になったのだ。


 ……今日の帰りにちゃんとした「恥ずかしくないエプロン」を買うんだからね。


「どんなエプロンなの? 」

 チアキはアタシのエプロンをひったくるようにしてみる。


「かわいいエプロンじゃない」

 

 へ?


 チアキならげらげら笑い出すだろうと思っていたのに、

意外な反応にびっくりした。

 

「咲の妹中学生だもんねー。

調理実習とかのときこれ着たら、男子なんてもうメロメロじゃん?

最近見てないけど、美季ちゃんかわいいし」


 あ、美季のことね。


 確かに美季はかわいい。

 いや、正確にはかわいかった、だ。


 今は顔はまだ一応かわいいけど、性格ブスで最悪ですよ? チアキ殿。


「でも、そのエプロン。アタシが着るんですけど? 」


「あ――そっか。

……咲が着ても、かわいいと思うよ?

男子もメロメロに――ここ女子高だからそれはないか」


 にやっと含み笑いするチアキ。

 するとアタシの耳元でそっとこう呟いた。


「佐藤先生がメロメロになるかもよ?

どうする? アツムさん、焼いちゃうんじゃない?? 」

「なっ、なに言ってんのよ!

そ、そんなことより、今日の帰り買い物付き合ってよ。

ふつーのエプロン買いに行くから! 」


 もう! チアキの馬鹿!


 ――そんなこと言うから、アツムの声、聴きたくなっちゃったじゃん。


 最近はお仕事が忙しいみたいで、全然会ってない。

 この前メールが来たけど、またどっか遠いところに行ってるから電波届かないし……。


 アタシがちょっと暗い顔をしたからか、チアキはちょっとバツが悪そうに

「そろそろ先生がくるから準備しとこ? 」と言ってエプロンを付け始めた。


 アタシもそれに習って、妹のエプロンをつける。


 ――今日はアツムから、メール、届くかな?


 


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