聞けないよ……
「ただいま~」
アタシは真っ直ぐ自分の部屋へ向かう。
「ふぅ~疲れたっ! 」
そう言いながらかばんを床に置くとベッドに身を投げる。
制服がしわになっちゃうかな? とか思ったけど、足がくたくたで疲れ切っていたので気にしないことにした。――もししわになっても、明日は休校日だしね。
で、アタシはケータイのディスプレイを眺める。
アツムからの連絡は――今のところナシ。
喫茶店経営中に来ていたのは2件のメールのみで、
『文化祭ちゃんと見れなくてごめん』っていうのと
『今日の夜連絡する』ってやつ。
そりゃさ、アツムにあま~いラブラブメールなんて望んじゃいけないのかもしれないけど、これじゃアタシの事どう思ってるのかが本当に分かんないんだよね……。
アタシってアツムにとってどんな存在なんだろう……?
そんな事を思ってたら、ちょっと涙が出そうになった。
アタシの恋ってなんか一方通行みたいだな。
ぼんやり考えていたらケータイから聞きなれた着信音が流れてきた。
アタシは慌てて電話をとる。
『もしもし? 咲? 』
アツムの声はなんだかすごく優しくて、アタシの目から涙が零れ落ちた。
『ごめんな? 今日咲に会えなくて』
「ううん。アタシも部活の方人が足りなくて忙しかったから……」
アタシはうっかりすると震えそうになる声を抑えて、わざと明るい声を出す。
『咲――?
……ごめんな……』
アタシが泣いているの、ばれちゃってるみたい。
いつもよりも優しいアツムの声。
『明日……会わないか?』
少しの沈黙の後、アツムはそう言った。
静かな口調で。
アタシは「うん」と答える。
もっとたくさん言いたいこととか聞きたいこととかあったのに、何故か言葉にすることができなかった。
もうすでに切れてしまったケータイに向かって、アタシは心の中で問いかける。
『アツムは、アタシの事スキ――? 』と。




