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ありがとう。チアキ

 文化祭も終わり、アタシ達は喫茶店で使った教室の片づけをする。

本当はクラスの出し物『お化け屋敷』の片付けもしなきゃいけないんだけど、文化部の子は部活の片付けもあるので必然的に免除になる。

特にうちの部は人数が少ないから部活が優選にどうしてもなっちゃうので、お化け屋敷の手伝いは30分だけ『受付』をやっただけなんだけど……。(しかもネコ耳メイドで……)


まぁ3クラス合同でやってたから、そんなに人数が足りないってことはないと思うんだけどね。


掃き掃除をしながらそんな事を考えていても、アタシの心の隅っこではアツムの事ばかり……。

――今考えても何も事態は変わらないって解ってるのに……。


アツムの声が聞きたい。

でも――もし『咲とは付き合えないから』なんて言われたらどうしよう。

もう嫌いだからって言われたら、アタシ――。


「咲。ぼんやりしてないでこっちも掃いて」

チアキに言われてアタシは手が止まっていることに気付いた。

「あ、ご、ごめん……」

慌ててホウキを動かす。


「……別れるとか、そんな話じゃないと思うよ? 」

チアキはチリトリを持ちながらそんな事を言った。


「……ほんとうに? 」

アタシがそう言うとチアキは力強く頷く。


「うん。だからそんな顔しないの」


「うん……。ごめんね……」


「今日の咲は『ごめん』が多すぎ!

もっと明るく行こうよ! 」

チアキはアタシのほっぺを両手でつかむと「ほら、スマイルスマイル」と言ってつかんでいる手を少し上にあげた。

「うん! やっぱり咲は笑ってる時が一番かわいいねぇ」

「ちょ、いひゃいってっ」

ほっぺたをつままれたままで喋ったら、変な言葉になってしまった。


「ぷっ」

「ふふっ」

「あはははっ!」


なんだかおかしくなって二人で笑った。

大きな声で笑うと、不安がどこかに飛んでいっちゃったみたい。


チアキ、本当に心配してくれてありがとう。



アタシ達が笑っていると、荷物を部室に運んでいた先輩が戻ってきた。


「掃除終わった? 部長も戻ってきたからちょっとだけ部室で反省会やるよ~」



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