チアキとアツムとそれからアタシ。
「もうちょっと気をつけなさいよね」
「……はい」
お客さんが多少落ち着いてから、アタシはチアキにこってりと絞られた。
確かにアタシが前を見てないで走ってたのが悪い。
反論なんて出来るわけもなく、チアキの怒りが収まるのをじっと待つしかない。
チアキも、アタシが心配だから怒ってるわけなんだし……。
「ごめんね。チアキ……」
アタシはなんだか情けなくなっちゃって、不覚にも涙腺が緩むのを感じた。
涙が眼のふちにいっぱいになる。もう少しで涙がこぼれてしまいそうだった。
「もう……。これからは気をつけるのよ」
チアキはアタシの頭をぽんとひと撫ですると、にっと笑った。
アタシもつられて笑うと、行き場のなくなった涙がすっとこぼれる。
「チアキぃ~」
アタシはチアキにきゅっと抱きつく。
いつも心配ばっかりかけてごめんね。
これからは心配かけないようにするから。
そう言おうと思ったけど、なぜか声にならなかった。
「ありがと」
その一言だけ、小さく呟くので精いっぱいだ。
チアキはよしよしと言わんばかりにアタシの頭を撫でて、そっと体を離した。
「――ちょっと、恥ずかしいってバ」
「あ、ご、ごめん」
チアキの顔が少し紅いのがなんだか可愛くて。
アタシはおもわずクスリと笑った。
「あぁ。そう言えば言うの忘れてたけど、さっきあんたが居なかったときに来てたよ~」
ちょっとムッとした顔をしてチアキはそう言った。
「? 誰が来てたの? 」
アタシがそう言うとチアキはにやにやと笑いながら言った。
「咲のちょーーーー大好きな『アツムさん』だよーーっ」
「えええええ~っ!」
ちょ、ちょっとホントに?!
アタシまだ今日会ってないのにっ!
チアキずるいっ!! ズルイ~!!
でも、なんでチアキがアツムの顔知ってるんだろ???
アタシは頭の中がハテナだらけになってしまった。




