嘘みたいな偶然
「――じゃあ、もう一度聞くけど、アツムさんと別れてから駅のベンチでぐったりしていたところ偶然先生に会って、病院まで連れて行ってもらった……ってことなのね?
しかも気が付いたら病院だった、と……」
「う、うん」
電話の向こうでチアキのおっきなため息が響いた。
「――全く! なんでそうなるかなあ!
大体アツムさんは咲が具合悪いって分かってたんでしょ!!
なのになんで彼女を放って置くかなあ!! 」
「ご、ごめん――」
あまりの剣幕にアタシは思わず謝る。
「なんで咲が謝るのよ! 家まで送るくらいしてくれても良いもんでしょ!! 」
「ん、でも、アタシが一人で大丈夫って言ったし。
……もともとその時点ではアタシ全然元気だったし……」
アタシはしどろもどろになってチアキに弁明する
そう。
アツムは『家まで送る』って言ってくれたのだ。
断ったのは――アタシ。
だからチアキの怒りはアツムじゃなくてアタシに向いて当然なのだけど――
大親友のチアキは「そうなの?! 」といいつつもまだ納得していないようだった。
「――だから先生は病院に連れて行ってくれただけなの。
もしチアキが何か聞かれたらそう言っておいてくれないかな? 」
「まあ――いいけどさ……。
あ、チャイム鳴ったから切るね。
とりあえず、安静にしてるように! 」
よほど慌てていたのか、チアキはアタシの返事を聞く前に電話を切ってしまった。
――先生にケータイが見つかったら没収されちゃうもんね。
焦って授業の準備をするチアキが想像できて、アタシはくすりと笑った。
すると突然アタシのケータイがぶるぶると体を震わせる。
「!! 」
見るとそれは大好きな彼――アツムからのメールだった。




