熱とスポーツドリンク
ぼんやりとアタシは目を開ける。
カーテン越しに見える陽はすでに高く、不思議に思いつつ壁にかけてある時計を見る。
――10時35分――
アタシは驚いて飛び起きた――気持ち的には。
でも心とは裏腹に、アタシはベッドの中で小さく動いただけだ。
な、なんで??
驚いていると、丁度アタシの部屋のドアが開いた。
「咲。起きたのね。どう?調子は? 」
おかーさんは手にしていたおぼんをアタシの机に置くと、スポーツドリンクの入ったグラスを差し出す。
……あ、そっか。
アタシ昨日ひどい風邪を引いたんだった。
寝起きでぼんやりする頭をむりやりフル回転させる。
「ん――あんまよくない。
ちょっと、起こして……」
アタシはおかーさんに体を起こしてもらうと、スポーツドリンクを一口飲んだ。
風邪を引いたらとりあえずスポーツドリンクで水分補給するのがうちのシキタリ? だ。
なんか、ただ水を飲むのよりいいらしいって事は知ってるけど、何がいいのかはちょっとわかんない。
意外と喉が渇いていたみたいで、アタシはそれを飲み干す。
――なんとなくだけど、少し体の調子がよくなった気がした。
「おかゆ。食べれるかしら? 」
おかーさんはそう言いながらアタシにおかゆの入ったお茶碗を手渡す。
ふわりと湯気が揺れて、アタシのおでこに触れた。
「多分大丈夫。――いただきます」
アタシはそう言うとスプーンでおかゆをすくって食べる。
病気になると必ずおかーさんは「梅がゆ」を作ってくれる。
これはアタシも大好きで、熱があるときでもなんかさっぱりしていて食べやすいのだ。
「じゃあ、今日はゆっくり休むのよ? 」
おかーさんはてきぱきと空のお茶碗と薬が入っていた袋を片付けるとアタシの部屋を後にした。
アタシは布団に包まりながら、何気なくケータイを手に取る。
メールが……2件……
……あ……
しまった……
アタシ、アツムにメールするのすっかり忘れてた!
お、怒ってるかなあ??
アタシはちょっと泣きそうになりながらメールを開いた。




